いて座が銀河の中心である、
というのを、
聞いたことがありませんか?
実際には、いて座が、というより、
地球から見ていて座の方向にある
”いて座A”
という天体が銀河系(天の川銀河)の
中心だと考えられているんですが、
いて座Aとはどういうものなのか
できるだけ分かりやすく
解説していきたいと思います。
いて座が銀河の中心!?天の川銀河のブラックホールについて
多くの銀河の中心には
巨大ブラックホールがある、
と言われていますよね。
私たちがいる銀河系:天の川銀河についても
そのように考えられていて、
いて座の中にある※
”いて座A”という天体に、
巨大ブラックホール:銀河の中心が
あるのではないか、と考えられています。
※”いて座の中”というのは、地球から見た、
見かけ上の、という意味です。
見かけ上というのは、
天球に天体を貼り付けた状態、
いわば、距離を無視して見た状態
のことをいいます。
よって、地球から見て、いて座の方向にある、
という表現が正しいです。
ちなみに、地球から いて座Aまでの距離は、
約2万6000光年です。
いて座Aとは、電波源※の集まりで、
いて座Aイースト
いて座Aウエスト
いて座A*(スター)
の3つに分かれていて、
それぞれが強い電波を発しています。
※電波源とは、強力な電波を放出する天体のこと
そして、現在”いて座A*”が、
大質量ブラックホールである、
と考えられています。
ブラックホールについては
以下の記事で詳しく説明してありますので、
よろしければご覧ください。
↓ ↓
ブラックホールとは その正体と仕組み・成り立ちについて
どうしてそのように考えられているかというと、
・いて座A*の周りを公転する天体が、
時速約500万キロという、
超高速で回転していたこと
・ブラックホールに吸収されるときに
天体が放出するX線を観測したこと
以前から、これらの観測により、
いて座A*のブラックホールの可能性が
示唆されていました。
そして、その後、いて座A*の周りを
公転する恒星(S2やS14など)の動きを
10年以上に渡って観測した結果、
それらの軌道から、いて座A*は、
約4000万kmの領域に、
太陽の400万倍程の質量を持って
収まっていることが分かりました。
4000万kmという範囲は
太陽から水星までの距離(約5800万km)よりも狭く、
太陽の400万倍の質量が収まるには
非常に狭い範囲です。
これほど狭いところに収まる
巨大質量の天体、といえば、
ブラックホール以外には考えられない
よって、いて座A*はブラックホールである、
という結論に達したようです。
星座を構成する恒星自体、
地球から見た方向が同じというだけで
それぞれの星と地球までの距離は
バラバラです。
よって、地球上で”○○座”と呼んでいるのは
全て距離を無視した見かけ上のことです。
いて座が銀河系の中心、というのは、
厳密に言えば、
地球から見て、
”いて座”と呼ばれている星の集団と
同じ方向に天の川銀河の中心がある
ちょっと、まどろっこしい言い方ですが
このように表現すると、より、
しっくりくるんじゃないかな、と思います。
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