おおぐま座とこぐま座の
ギリシャ神話をご紹介しています。
おおぐま座は北斗七星を、
こぐま座は北極星を有する
星座として、
共に有名な天体ですが、
この2つの星座の由来となった、
ちょっと切ない物語を
解説していきたいと思います。
おおぐま座とこぐま座の神話 カリストとアルカス親子の悲劇
カリストは、アルカディア王・リュカオンの娘で、
女神・アルテミスに仕えるとても美しい女性でした。
アルテミスの従者として、純潔を守り、
狩猟を共にする生活を送っていました。
しかし、その美しさが
大神・ゼウスの目に留まります。
ゼウスは警戒されないよう、
アルテミスの姿に変身して
カリストに近付きました。
やがて、カリストはゼウスの子を
身籠ります。
カリストはアルテミスに知られることを恐れ、
そのことを隠していましたが、
やがてそれは彼女の知るところとなり、
純潔を重んじるアルテミスは怒り、
カリストを追放してしまいました。
その後、カリストに
男の子・アルカスが生まれます。
これを知ったゼウスの正妻である
女神・ヘラは嫉妬で怒り狂い、
カリストに呪いをかけ、
彼女を熊の姿に変えてしまいました。
※カリストを熊の姿に変えたのは
アルテミスだという説もあります。
カリストは、元の美しい姿とは似ても似つかぬ
恐ろしい己の姿を恥じ、嘆き悲しみました。
そして、森の奥深くへと、
一人、姿を隠してしまいました。
それから十数年の年月が流れ・・・
カリストとゼウスの息子・アルカスは
立派な青年に成長していました。
彼も狩りを得意とし、
毎日、獲物を追いかけ、
野山を駆け回っていました。
ある日、アルカスは、森の中で、
一頭の、大きく立派な熊に遭遇します。
熊は両手を大きく広げ、
アルカスに向かって近付いてきます。
このクマこそがカリストで、
立派に成長した我が子をみとめ、
思わず抱きしめようと
近付いてきたのです。
しかし、アルカスは
そんな事情はつゆ知らず、
大きな熊が自分めがけて
襲いかかって来ているとしか思えません。
アルカスは矢を番え、
目の前のクマを射ようとしたその瞬間、
大きな旋風が巻き起こり、
2人は天に舞い上げられてしまいました。
この突風は、一部始終を見ていたゼウスが、
アルカスが母親を殺してしまわないようにと
起こしたものだったのです。
※ゼウスは、おおぐまとこぐまの尻尾を持って
グルグル回して天に放り上げた、
という説もあります。
ゼウスはこの時、アルカスも熊の姿に変え、
カリストをおおぐま座、アルカスをこぐま座として、
2人を夜空に輝く星座にしました。
※アルカスはうしかい座になった、
という説もあります。
うしかい座は、おおぐま座を
追いかけるように動くことから、
アルカスが母・カリストを慕い、
追いかけているのだ、とする説もあります。
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