小惑星探査機はやぶさ2は、
先代のはやぶさには無かった
”ピンポイント・タッチダウン”
という機能を携えています。
その新方式とは、
一体どんな機能なのか
これまでのはやぶさの方式と
どう違うのか
など、はやぶさ2のタッチダウンについて、
なるべく簡単に、分かりやすく
解説していきたいと思います。
はやぶさ2のピンポイント・タッチダウンとは?
ピンポイント・タッチダウンとは、
ターゲットマーカーをあらかじめ投下し、
そのターゲットマーカーの正確な位置を捉え、
着陸場所を指定してタッチダウンする方式です。
これだけでは何のことか分かりませんよね^^
順を追って、なるべく分かりやすく
解説していきたいと思います。
まず、ターゲットマーカーとは、
直径10cmほどの球形の装置で、
天体に投下し、探査機からの
目印となるものです。
ターゲットマーカーは
反射フィルムで覆われていて、
探査機から発せられたフラッシュによって
明るく輝き、目印となります。
今まで(先代はやぶさ)の方式は、
着陸の際に先にターゲットマーカーを分離し、
落下していくターゲットマーカーを
画面の中心にとらえながら追いかけ、
それめがけて着陸する方式でした。
よって、一度に追尾できる
ターゲットマーカーは一つだけで、
それを着陸の指定位置に
正確に落とす必要がありました。
それによって着陸の精度が
決まってしまうからです。
ターゲットマーカー = 画面の中心
ターゲットマーカーの位置 ≒ 着地地点
それに対して、はやぶさ2の新方式では、
着陸態勢に入る前にあらかじめ落としておいた、
地表にあるターゲットマーカーを画面で捉えます。
そして、着陸位置を、例えば、
そのターゲットマーカーより南へ3m、
などと指定できるんです。
これは、ターゲットマーカーを
画面の中心に据え置かずにずらすことができる、
(着陸地点を画面の中心に捉えることができる)
というものです。
ターゲットマーカー ≠ 画面の中心(画面の中心は着地点)
ターゲットマーカーの位置 ≠ 着地地点にすることができる
よって、ターゲットマーカーを
正確に投下できなかったとしても
着陸地点を指定できるので
機体の着陸には影響なし!なんです。
また、複数のターゲットマーカーを認識し、
活用することもできます。
※1回目のタッチダウンでは
一つのターゲットマーカーで
実施されました。
この方法+探査機の自立制御をチューニング・
最適化するなどの対策により、
飛躍的に着陸精度が上がり、半径3mという
狭い範囲への着陸が可能となりました。
ただし、この方法は、
人工クレーターを作って
その近くに着陸するときのために
考えられていた方法だったようで、
1回目のタッチダウンで用いるのは
当初、想定外だったようです。
100mくらいの平坦な場所があれば、
普通にタッチダウンできるはずでしたが、
リュウグウの表面は岩だらけで、
100mどころか、20~30mの
平地すらありませんでした。
なので、当初のタッチダウンの予定を延期し、
先にターゲットマーカーを投下して、
付近を詳しく調査することにしました。
その結果、最終的に”L08-E1”と呼ばれる
場所に決定したそうです。
そして、2019年2月22日に
タッチダウンを決行、
初代はやぶさが成しえなかった
弾丸発射にも成功しました。
また、サンプル採取にも
成功したと見られています。
はやぶさ2の2回目のタッチダウン予定は
2019年7月11日です。
今度は4月5日に作った
人工クレーターの近くにタッチダウンし、
リュウグウの内部の物質を
採取することが目的です。
無事に2回目のタッチダウン+サンプル採取を終え、
地球への帰還に成功してほしいですね!
——追記——
※2019年7月11日午前10時20分ごろ、
はやぶさ2は2回目のタッチダウンに成功しました!
そして、リュウグウの地下物質の採取も
無事に行えたと見られています。
はやぶさ2は 全てのミッションに成功し、
今後は小型探査機を使ってリュウグウを観測、
今年・2019年末ごろにリュウグウを離れ、
来年・2020年末ごろ地球に帰還予定となっています。
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